2020年に開始されたオープン・リサーチのパイロット研究では、イリノイ州とテキサス州の低所得者1,000人に月1,000ドルの支払いが行われました。さらに、コントロール群として2,000人の参加者に月50ドルが支払われました。この研究の目的は、無条件の現金給付が受給者の生活に及ぼす影響を調査することでした。

3年間の研究から得られた主な知見は以下の通りです:

1. 生活必需品への支出: 参加者は主に食費、家賃、交通費などの生活必需品に資金を使っており、「薬物やアルコールなどの嗜好品に使われる」という誤った概念を覆しました。

2. ストレスレベルの低下: 無条件の支払いにより、参加者の基本的なニーズを心配する必要がなくなったため、ストレスレベルが低下しました。

3. 貯蓄の増加: 参加者は貯蓄を増やすことができ、財務的な安定性が向上しました。

4. 労働参加率の微減: 労働参加率が2%低下し、年間約8人分の労働時間が減少しました。ただし、これは必ずしも「怠惰」や「依存」を意味するものではありません。データによると、より良い雇用機会を見つけたり、家族と過ごす時間を増やしたりするなど、前向きな変化もみられました。

これらの知見は、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の潜在的な利点を示しています。長期にわたる研究と、コントロール群の設定により、結果の信頼性が高まっています。今後のポリシー議論やUBIプログラムの実施に役立つ情報となるでしょう。